「こいのぼり」の歌を聴いていると、「まごい」と「ひごい」の違いや、「お母さん」が出てこない理由が気になることはありませんか?
実は、これらには深い意味と歴史が隠されています。
この記事では、童謡「こいのぼり」の謎や、あまり知られていないもう1つの歌について、豆知識を交えながら楽しく解説します。
「こいのぼり」に出てくるまごいとひごいって?
みなさん、5月5日の端午の節句といえば、「こいのぼり」が思い浮かびますよね。
「やねよりたかいこいのぼり……」で始まる童謡「こいのぼり」にも、空を泳ぐこいのぼりの様子が歌われています。
ですが、その歌詞の中に出てくる「まごい」と「ひごい」というワードにピンとこない人も最近では多いそう。
まごいは黒い大きい鯉のぼり、ひごいは赤い鯉のぼりのこと
「まごい(真鯉)」は、鯉のぼりの中でも黒い大きい鯉のぼりのことを指します。
鯉のぼりの中でもいちばん上に飾られているね。
「おおきいまごいはおとうさん」と歌われているように、歌の中では父親を象徴しています。
黒色は力強さや威厳を意味していて、まさに家族を支える存在としてのお父さんのイメージにぴったり。
一方で「ひごい(緋鯉)」は赤い鯉のぼりのことを言い、歌の中では子どもたちを表しています。
元気や活力を意味する赤い鯉が家族の中で子どもを象徴している……というのですが、
あ、あれ?お母さんはどこ?
「こいのぼり」の歌詞に『お母さん』が出てこないのはなぜ?
「こいのぼり」の歌詞にお母さんが出てこないこと、これにはちゃんと理由があるんです。
昔の鯉のぼりはまごいとひごいだけだった!?
鯉のぼりといえば、黒、赤、青の3匹のイメージが強いかと思いますが、童謡「こいのぼり」がつくられた昭和初期には、こいのぼりといえば真鯉と緋鯉の2匹だけだったと言われてます。
青い鯉のぼりが登場したのは、戦後以降といわれています。
意外と最近でびっくり!
家父長制の影響
そして、「こいのぼり」の歌詞が作られたのは、まだ日本に家父長制が根強かった時代です。
家庭の中心といえばお父さんで、家族のリーダーとされていました。
だから歌詞にも「まごいはお父さん、ひごいは子ども」といった形で、お母さんが登場しないんです。
現代のこいのぼり
昔は鯉のぼりが男の子の成長を願うものでしたが、今では家族全員の健康や幸せを祈る象徴として飾られることが増えました。
現代では黒いまごいがお父さん、赤いひごいがお母さん、そして青の鯉が子どもたちを表して、家族みんなが元気に泳ぐ姿を描いています。
こいのぼりの歌の背景を知ってから今の鯉のぼりを見上げると、ずいぶん時代が変わったんだなと感じますね。
もう1曲ある鯉のぼりの歌!『いらか』って何かわかる?
さて、「こいのぼり」といえば、もう1曲別の鯉のぼりの歌があるんです。
みなさんはご存じでしょうか?
もうひとつの「鯉のぼり」の歌
そのもう1曲とは、1913年に発表された文部省唱歌「鯉のぼり」です。
この歌は、今まで紹介した「こいのぼり」より、もっと古風な雰囲気のある歌なんです。
歌詞は「いらかの波と雲の波」というフレーズで始まります。
「いらか」という言葉、聞き慣れない方もいるかもしれませんが、漢字で書くと「甍(いらか)」、つまり瓦屋根のことなんです。
「いらかの波」とは、瓦が重なり合って波のように見える様子。
一方で「雲の波」は、空に浮かぶ雲がまるで波のように見える様子を表しています。
この歌は、自然と調和しながら、鯉がまるで大空を泳いでいるかのような美しい情景を描いているんです。
意味が分かると、その情景が頭に思い浮かぶね。
中国の伝説「登竜門」がモチーフ
この文部省唱歌「鯉のぼり」には、実は中国の「登竜門」という伝説が元になっています。
この伝説では、鯉が滝を登りきると竜になると言われていて、困難を乗り越えて成功することの象徴なんです。
つまり、この歌は、男の子が成長し、立派な大人になることを願って作られているんですね。
特に昔は、子どもの成功や立身出世が家族の大事な願い事だったので、この歌に込められたメッセージも深いものがあります。
まとめ
「こいのぼり」のまごいとひごいの違いや、なぜお母さんが歌詞に登場しないのか、さらにはもう一つの「鯉のぼり」の歌など、時代や文化によって変化してきた背景が興味深いです。
2つの歌の時代背景を感じながら、伝統行事を楽しみたいですね!