毎年見かける鯉のぼりと吹き流し。
その色や順番に決まりがあるのをご存知でしたか?
この記事では、伝統的な配置や色の意味、そしてその奥深い歴史について詳しくお伝えします。
なぜ黒や赤、青の鯉が使われるのか、吹き流しの五色には何か特別な意味があるのか?
鯉のぼりと吹き流しの魅力を再発見できる内容になっていますので、ぜひ最後までゆっくりとお楽しみください。
鯉のぼりと吹き流しの色と順番:伝統的な配置って?
鯉のぼりと吹き流しの色と順番について、皆さんはご存知ですか?
実は、伝統的な配置には深い意味があるんです。
まず、鯉のぼりの順番から見ていきましょう。
上から順に、
- 父親を表す黒い鯉
- 母親を表す赤い鯖
- 子どもたちを表す鯉
というように飾られています。
家族みんなで空を泳いでいるみたい。なんだかほっこりしますね
でも、あげられているのは鯉のぼりだけじゃないんです!
黒い鯉のぼりのさらに上には、ひらひらとしたカラフルなものがついています。
これが「吹き流し」と呼ばれるものです。
伝統的な吹き流しは「五色の吹き流し」と呼ばれ、色の順番にも決まりがあります。
- 青色または緑色
- 赤色
- 黄色
- 白色
- 黒色または紫色
この5色のひらひらがぐるっと1周して、吹き流しの形をなしています。
神社やお寺でも見たことある色あいかも!
この色使いには、中国の「陰陽五行思想」という考え方が関係しているんです。
ただし、日本では少しアレンジが加わっているところもあります。
- 黒色はあまり好まれないので、紫色が使われることも
- 緑色を青色と呼ぶ習慣があるので、青色と表現されることも
最近では、デザインが多様化していて、いろいろな種類の吹き流しが売られています。
でも、伝統的な五色の吹き流しには、昔からの人々の願いが込められているんです。
鯉のぼりと吹き流しの色が持つ意味:各色に込められた願いとは?
鯉のぼりと吹き流しの色には、実はとても深い意味が込められているんです。
特に「五色の吹き流し」の色には、昔の人たちの願いがたくさん詰まっています。
あらためて「五色の吹き流し」の色と意味を見てみましょう。
- 青色(または緑色):木を表します
- 赤色:火を表します
- 黄色:土を表します
- 白色:金を表します
- 黒色(または紫色):水を表します
これは中国の「陰陽五行思想」という考え方がもとで、この五色が揃うことで「魔除け」の効果があると言われているんです。
さらに面白いのは、これらの色の並び順にも意味があるということ。
吹き流しに使われている並びは「相生(そうせい)」と呼ばれており、お互いを強め合う関係を表しています。
具体的には、こんな感じで循環しています。
木 → 火 → 土 → 金 → 水 → 木 → …
この順番で、隣り合う要素がお互いを強め合いながら、ぐるぐると回り続けるんです。
ちなみに、相生以外にも「相剋」「比和」「相乗」「相侮」という関係性もあるそうです。
でも、吹き流しに使われているのは、みんなで協力して強くなっていく「相生」の関係なんですよ。
こうして意味を知ると、なんだか神秘的な気分になりますね
鯉のぼりと吹き流しの意味ってそもそも何?子どもの成長と家族の幸せを願って
鯉のぼりと吹き流し、よく見かけるけれど、その意味って知っていますか?
実は、子どもの成長と家族の幸せを願う、素敵な意味が込められているんです。
一つずつ見ていきましょう!
回転球(かいてんきゅう)
一番上にあるきらびやかな玉飾りのことで、「天球」とも呼ばれます。
江戸時代末期の回転球は「駕籠玉(かごだま)」と呼ばれる竹を丸く編んだものだったそうです。
- 意味:
- 神様が下りてくる時の「目印」
- 「幸運」や「福」が入りますように
矢車(やぐるま)
回転球のすぐ下にあるパーツで、中心に向かって矢が刺さっているような形をしています。
- 意味:
- 風でカラカラと鳴る音で神様に気づいてもらう
- 音で悪いものを追い払う
- 悪いものを打ち破る(魔除け)
- 幸運を射止める
五色の吹き流し
すでにご紹介している、青(緑)・赤・黄・白・黒(紫)の吹き流しです。
- 意味:
- 魔除け
- 龍(水の神)から鯉を守る
- 子どもの無事な成長を願う
鯉のぼり
吹き流しの下には、「黒色の真鯉:お父さん」「赤色の緋鯉:お母さん」「青色の鯉:子ども」の鯉のぼりが並んでいます。
- 意味:
- 「子どもが健やかに成長し、立身出世しますように」
鯉のぼりと吹き流しの各パーツには、子どもの成長と家族の幸せを願う気持ちがたっぷり詰まっています。
次に鯉のぼりを見かけたら、ぜひこれらの意味を思い出してみてくださいね。
鯉のぼりと吹き流しの歴史:端午の節句から現代までの変遷を辿る
鯉のぼりと吹き流しの歴史って、とても興味深いんです。
一緒に昔から今までの変化を見ていきましょう!
鯉のぼりの始まり
元々は、端午の節句に飾られた「武者絵のぼり」から始まりました。
江戸時代の武家の習慣として、男の子の成長や出世を願って飾られました。
その頃は絵柄と家紋が描かれた「武者絵のぼり」や「鎧(よろい)」を庭先に飾っていたそうです。
庶民への広がり
その武家の習慣が、だんだんと庶民にも広まり、多くの家が庭先に「のぼり」を飾るようになりました
町人が「のぼり」の先の「おぎしろ(小さい旗のようなもの)」を「こい」の形に変え、徐々にが大型化したのが「こいのぼり」だといわれています。
吹き流しの歴史
吹き流しは鯉のぼりよりも古い歴史があり、戦国時代には既に飾られていたといわれています。
戦の後に願いを込めて目立つ場所に掲げられ、「もうこれ以上災いが訪れない様に」という願いが込められていたという説が有力です。
鯉のぼりの色と数の変遷
実は、鯉のぼりが「黒色、赤色、青色」の3色になったのは昭和時代になってから。
鯉のぼりの数は、
- 江戸時代:黒色の真鯉1匹のみ
- 明治時代:黒色の真鯉と赤色の緋鯉の2匹
- 昭和時代以降:黒色、赤色、青色の3匹
と変化していったと言われています。
「大きい真鯉はお父さん、小さい緋鯉は子どもたち」と歌っている「こいのぼり」の歌は昭和初期にできたものだそう。
その頃はまだ「赤い緋鯉=お母さん」のイメージじゃなかったのかも?
現代の鯉のぼりは、3匹の基本セットに加えて、さまざまな色の鯉が登場しています。
家族構成に合わせて鯉の数を増やす家庭もあるみたいです。
これが令和の鯉のぼりの形になるかも!?
鯉のぼりと吹き流しの歴史を見ると、日本の文化や家族観の変化が分かりますね。
昔は武家の象徴だったものが、今では家族みんなの幸せを願うシンボルになっています。
時代とともに少しずつ形を変えながらも、子どもの成長を願う気持ちは変わらず受け継がれているんです。
まとめ
鯉のぼりと吹き流しの各パーツには、子どもの成長を祝福する意味が詰まっています。
色や数の変遷を見ると、日本の文化や家族観の変化も感じられますね。
次の子どもの日には、そんな歴史を感じながら鯉のぼりを見上げてみては?